写真1は、小学部低学年の「朝の会」における環境設定です。このようにシンプルな環境を基本として、活動内容に沿って、「今日のスケジュール表(写真2)」などの「視覚的手掛かり」をその都度、出し入れします。このような配慮を行うことにより、注目すべき点が明確になり、今、何をやっているのかが伝わりやすくなります。自閉症には、「構造化」が有効ですが、それは「パーテーションで仕切ること」だけではなく、「分かって動きやすい環境づくり」を指すと考えます。その学習活動にふさわしい教室環境を、子ども自ら準備することで、活動に対する見通しと心構えができるという効果も期待できます。
 見通しをもてるよう、スケジュールを示すことが重要です。スケジュールは、本人にとって便利なものでなければなりません。予定を押し付けるのではなく、好きな活動を織り交ぜたり(写真3) 、選択肢を示したりすること、本人が操作していけるよう導くことがポイントとなります。
(写真4)調理の手順を示した「めくり式スケジュール」です。
(写真5)立ち位置を示す目印です。フラットな空間であっても、このような目印に気付いて活用できるようになると、とるべき行動が分かるので、集団参加が十分可能になります。
(写真6)学習教材の準備も自立的に行うために、教材かごに付けた箱とカードの数字をマッチングさせるようにしています。
(写真7)朝の会で行っている、ハンカチ・ちりがみ調べの活動で使用している教材です。このトレイに置くことでチェックすることができます。
 自閉症の子どもたちは、視覚的手掛かりを活用しながら操作的に活動することを得意としていますし、動作を伴うことで記憶も促されます。一方で、不器用な子どもも少なくありません。使いやすく機能的な教材や教具を準備してください。パターン的な活動を繰り返しながら、成功経験を重ね、少しずつ学習の質を向上できるようにしましょう。
 これは、廊下にフローリングワイパーをかける活動を支えるシステムです。
(写真8)回数を示すボードです。一回かけ終わるごとに数字カードを下の箱に入れます。
(写真9)どこからどこまで、どんな順番で掃除するのかを示す目印を床に貼っています。
(写真10)フローリングワイパーに重しをつけて、作業をしやすくしています。
 各授業においては、その時間の主眼となる学習課題を重視するのはもちろんですが、その学習に使用する教材の準備や片付け、教室環境の変更を含めた一連の活動をできるだけ子どもの活動に設定します。これにより、無駄な待ち時間がなくなるので逸脱行動を予防でき、物の扱い方や人に合わせて行動する経験など、「自立活動」の内容も自然な流れの中で学習できます。
(写真11、12)学習教材の準備片付けも子どもたちの手で行います。キャスターと置く場所を示す目印があれば、低学年の子どもでも十分に可能です。
(写真13)学習スケジュールを示す「めくり式スケジュール」の操作も子どもが行います。活躍場面(役割)があることで、見通しをもって主体的に学習に参加できるようになります。 「めくり式スケジュール」はテレビ画面と同様に、子どもたちの注目を促すことができますので、これを活用することによって、集団場面でもやるべきことが分かり、学習への参加率を向上させることできます。
(写真14)高学年になると、子どもたちによる学習活動の進行も可能になります。自分たちで教材を活用しながら、やりとりすることで、社会性を育むことが期待できます。

(写真15、16)朝の係活動の様子です。給食メニューをシートに書き写します。できあがったシートは、朝の会で実際に使用されます。自分が仕上げたものが活用されることで目的意識をもって活動に取り組むことが可能になります。
(写真17)作業学習における準備活動の様子です。使用する教材を正確に準備するためのシートを敷いている様子です。
(写真18)扱いやすい位置に教材を配置することで学習活動がスムースになります。目の前にある材料がなくなると、休憩にしたり報告機会にしたりすることで、見通しをもちメリハリのある学習が展開できます。
(写真19)小学部低学年の国語・算数の学習の様子です。言葉、数について学びを促しながら、教材を介した人とのやりとりも経験を積めるようにします。教師は、子どもの手元に気を取られることなく、子どもの全体像を把握し学習への参加率や理解度を評価しながら指導することがポイントになります。
 他者から評価される経験の積み重ねが、自己評価する力となり自己コントロールする基盤となります。認められる機会を確保することは、将来の自立のためにも重要です。
 自閉症の子どもも、褒められること、できたと実感できたことは、とてもうれしく感じることができます。やって当たり前のことであっても、活動に取り組んでいるとき、やり遂げたときなどは、称賛しましょう(写真20)。
 評価する際のポイントは、その場で、すぐに褒めることです。また、写真21のような評価表をつけることで、視覚的に確認できますし、後で振り返ることができます。さらに、必然的に評価活動がなされるので、評価される機会が保障できます。
 帰りの会などで、今日の頑張りを子ども同士でも評価し合えるとよいですね。